2025 FIM ENDURANCE WORLD CHAMPIONSHIPル・マン24時間耐久ロードレース 結果報告


2025ルマン24時間耐久結果報告_JP

17、18日/予選


FIM世界耐久選手権へ3年連続で参戦となる Team KWT。今シーズンからはタイヤメーカーがブリヂストンとなりマシンフィーリングや仕上がりに良い影響を与えていたことから、チームとしても表彰台への期待が高まっていた。
今年は、グレゴリー・ルブラン、クリスチャン・ガマリノ、マイク・ディ・メリオの3名に、リザーブライダーとしてロマン・ラモスが加わった4名体制で挑む予定だった。
しかし、事前テスト中に右肩を負傷したガマリノ選手は万全な状態とはならず、今回はレースに出走しない判断となったが、現地ではライダーたちのサポート役としてチームを支えてくれた。
代わってロマン・ラモス、グレゴリー・ルブラン、マイク・ディ・メリオの3名で戦うこととなった。

予選前のフリープラクティスでは、ロマン選手が好調な走りを見せ、セッション2位を獲得。
ロマン選手は事前テストから一貫して安定した速さを発揮しており、チーム内でもトップタイムを連発していた。
今年に入ってからの成長とフィーリングの良さを象徴する走りとなった。
予選初日は、2日目に雨の予報が出ていたため、チームはこの1回目にすべてをかけてタイムアタックに挑んだ。ライダーブルーを担当したロマン・ラモス選手は、積極的にアタックを重ね、1’35.542までタイムを伸ばし、グループ4位でセッションを終えた。
続いてライダーイエローのマイク・ディ・メリオ選手は、2周目に転倒があったもののマシンへのダメージは軽微。迅速な修復後に再出走し、1’36.440を記録し、グループ7位で予選を終えた。
ライダーレッドのグレゴリー・ルブラン選手は、直前の転倒の影響もあり1回目予選では本来のタイムを出しきれず。予選2日目は、予想に反して天候が持ち直しドライコンディションに。グレゴリー選手が1’36.069とタイムを更新しチームの総合タイムを押し上げた。

結果的にロマン選手、グレゴリー選手の合算タイムによりKawasaki Webike Trickstarは総合7番手からのスタートとなり、決勝での巻き返しに向けた十分なポジションを獲得することができた。

Fim_Ewc_24H_Motos_2025_Webike SRC Kawasaki France, Gamarino Christian, Ramos Alvaro Roman, Checha Carrera David, Loiseau Anthony, Kawasaki ZX10R, Formula EWCEwc_24_H_Mans_2025-ARTEC 199, Production, BERGERON Lionel, CLEMENT Mathieu, MARTIN Damien, BOURGEAIS Wayne, KawasakiZX 10REwc_24_H_Mans_2025_YOSHIMURA SERT MOTUL, Black Gregg, Masson Etienne, Linfoot Dan, Atsumi Cocoro, Suzuki GSXR 1000, Formula EWC

 

 

 

 

 

19 日~20日/ 決勝レース    2位


決勝日は、スタート直前に雨が降り始め、難しいウェットコンディションで幕を開けた。スタートライダーを務めたのは、ル・マンで最多優勝を持つグレゴリー・ルブラン選手。
グレゴリー選手は好スタートを切り、オープニングラップを4位で通過する。レース序盤は、路面状況が悪化する中で他チームが転倒を重ねる波乱の展開となったが、グレゴリー選手は冷静かつ安定した走行を続け、4〜5位を争う立ち上がりを見せた。Ewc_24_H_Mans_2025_Race-KAWASAKI WEBIKE TRICKSTAR, Formula EWC, RAMOS ALVARO Roman, DI MEGLIO Mickael, LEBLANC Grégory, KawasakiZX 10R

そして続けて2スティント目も担当し、さらにペースを上げ、2位まで順位を押し上げてピットイン。力強い序盤の走りで、チームに理想的な流れを作った。
その後、ロマン選手にライダーチェンジ。ピットアウト時に3位となるが、すぐに持ち前のハイアベレージ走行で周回ごとに差を詰めていく。
事前テストから好調を維持していたロマン選手は、この日もその実力を遺憾なく発揮し、104周目には再び2位を確保。さらにダブルスティントでの走行をこなしながら、着実にトップとの差を詰めていった。
続いてマイク選手がマシンを引き継ぎ、トップ争いに本格的に加わる展開に。
グレゴリー選手、ロマン選手、マイク選手が繋いでいく中で、レース開始から7時間が経過した時点でトップとの差はわずか4.4秒に。そこからの攻防は圧巻だった。

そして8時間が経過した247周目、ロマン選手が#7 YART YAMAHAをオーバーテイクし、ついにKWTが首位に立った。
このタイミングでFIM EWCの規定による8時間のリザルトの中間ポイントが加算され、10ポイントを獲得。チャンピオンシップ争いにおいても重要なアドバンテージを得た。

そこから深夜帯に突入し、暗く冷え込む夜間走行、視界の悪さや雨による転倒車の続出でセーフティカーの導入など難しいコンディションが続いたが、過酷な状況下でもチームは集中力を切らすことなく安定した走りを続けた。Ewc_24_H_Mans_2025_KAWASAKI WEBIKE TRICKSTAR, Formula EWC, RAMOS ALVARO Roman, DI MEGLIO Mickael, LEBLANC Grégory, KawasakiZX 10R

そしてレース開始から16時間のリザルト中間ポイントでも10ポイント獲得し首位に立ってからは約11時間にわたりトップを維持し、最大で2位に対し3周差のリードを築くなど、完全にレースを支配する展開となっていた。

しかし、レース残り3時間半となったタイミングでアクシデントが発生する。マイク選手が転倒を喫してしまう。すぐに立ち上がり走行を再開。マシンの損傷も軽微だったため、そのまま走行を継続しスティントを全うしてピットへ戻った。メカニック陣が状況を見極めながら的確にマシンの修復を行い、レースに復帰する。順位は1位のままだったが、2位とは同一周回となり一気に接戦へと突入した。

Ewc_24_H_Mans_2025_Race-KAWASAKI WEBIKE TRICKSTAR, Formula EWC, RAMOS ALVARO Roman, DI MEGLIO Mickael, LEBLANC Grégory, KawasakiZX 10REwc_24_H_Mans_2025_Race-Hungarian Endurance Racing Team by Moto-Jungle, Superstock, KOVÁCS Balint, SZÁMADÓ Máté, GÖRBE Soma, JUHÁSZ Dávid, BMW M 1000 RREwc_24_H_Mans_2025_KAWASAKI WEBIKE TRICKSTAR, Formula EWC, RAMOS ALVARO Roman, DI MEGLIO Mickael, LEBLANC Grégory, KawasakiZX 10R

グレゴリー選手がコースインし、 さらにタイム差を広げるため懸命に走行を重ねていく。続くロマン選手は疲労のピークを迎える22時間経過時点にもかかわらず、 レース中のチームベストタイムとなる1 分36秒922を記録。 2位との差を1周半まで再び広げ、 完全勝利が目前に迫っていた。
レース残り1時間を切ったタイミングで、 コース上は再び雨。ドライからウェットへと急激に変わるコンディションの中、 ロマン選手はピットインしてスリックタイヤからレインタイヤへと変更。 そのままロマン選手が最終のスティントへと突入する。
コースアウトしたその直後、 ロマン選手が転倒してしまう。すぐにピットインし、 メカニック陣が驚異的なスピードで対応し、 チームはすぐにレースへと復帰。だが、 この時点で順位は2位へと後退していた。

ライダーチェンジし、 マイク選手がマシンに跨る。ここからの走りは、 まさに 「圧巻」 の一言だった。Ewc_24_H_Mans_2025_Race-

レインコンディションにもかかわらず、 1周で5秒近く#7 YART YAMAHAより速いラップを刻む。#7 YART が緊急ピット対応で約1分のタイムロスを出したことで、 KWTは2周差を一気に詰め、 同一周回にまで追い上げる。さらに、 コース上で#7 YART をオーバーテイクするという驚異的な展開を魅せた。

最後の最後まで表彰台の頂点を目指して走り抜いたが、 惜しくも1位奪還には届かず、 Kawasaki Webike Trickstar は 2 位でチェッカーを受けた。

優勝目前だっただけに悔しさの残る結果ではあるが、 Team KWT参戦3年目にして初の表彰台となった。24 時間に及ぶ過酷なレースの中、 すべてをかけた戦いで、 ライダー・マシン・スタッフの全てが高いパフォーマンスを発揮しチーム全体のポテンシャルと強さを証明する内容となった今大会。悔しさを胸に、 次戦スパでのさらなる飛躍を誓う。

W0059350-Ewc_24_H_Mans_2025_Race-Ewc_24_H_Mans_2025_Race-KAWASAKI WEBIKE TRICKSTAR, Formula EWC, RAMOS ALVARO Roman, DI MEGLIO Mickael, LEBLANC Grégory, KawasakiZX 10REwc_24_H_Mans_2025_Race-

ロマン ラモス選手コメント


伝統的なル・マン24時間耐久レースで2位を獲得できたことをとても嬉しく思います。

ORGANIZADOR - Circuito de XXXXXXX 00/00/2023しかし15時間以上トップを走り続けた、あのレース展開から最後の最後で優勝を逃してしまい本当に悔しく残念です。私たちは最後まで勝利を信じて戦っていましたしそれはこのチームの目標でもありました。

グレゴリー選手、マイク選手、クリスチャン選手、そしてチームスタッフ全員が本当にいい仕事をしてくれました。私は素晴らしいチームで戦えたことを誇りに思います。
そして、とても過酷な今回のレースで、僕たちは「勝利を争える力がある」ということをしっかりと証明することができました。
私自身も、今回のウィークを通じて自分が優れた耐久ライダーであることを示せたことはすごく嬉しいです。
ル・マンは本当にタフだったけど、カワサキのバイクはこのコースにすごく合っていると感じました。
次戦のスパ・フランコルシャンはエンジンのパワーが必要で難しい展開になるかもしれないけど、僕たちはもっと努力して、またさらに強くなってスパ8時間に挑みます。最後に今まで応援し続けてくれた家族、時間を割いて励ましてくれた仲間、スポンサーやファンの皆様、沢山の応援をいただき心から感謝しています。

 

マイク ディメリオ選手コメント


Team Kawasaki Webike Trickstarに移籍した最初のレース、ル・マン24時間耐久レースで2位という素晴らしい結果を獲得することができました。ORGANIZADOR - Circuito de XXXXXXX 00/00/2023

激しい展開と数々の追い抜きが繰り広げられた中で、僕たちは24時間通して高いパフォーマンスを発揮できたと思います。
今年からブリヂストンタイヤのサポートが加わり、トップ争いが現実になり、チーム全体で15時間以上も首位をキープできたことはとても大きな収穫です。
交代ごとに変わるコースコンディションは非常に難しいコンディションだったけれど、ライダー全員が持てる集中力と才能を最大限に発揮し、技術チーム、戦略チーム、メカニック、そしてすべてのスタッフが一丸となって休むことなく動き続けた結果が、この2位という成果に繋がりました。

でも、正直な気持ちを言うと「勝利が本当に目の前にあった」からこそ、今は嬉しさよりも悔しさの方が大きいです。それでも、僕たちには“勝つために戦える力がある”ということを証明できたし、今回のレースで自分たちの良い点と改善すべき課題も明確になりました。
そしてこの先の飛躍に向けて、より一貫性のある走りと、安定したペースを保つための準備を進めていく必要があると感じています。
このような素晴らしい形でシーズンをスタートできたことに大きな意味があるし、チャンピオンシップ争いの上でも貴重なポイントを獲得できました。

次はスパ8時間耐久です。Kawasakiのマシンでスパ・フランコルシャンを走るのは初めてで、新たな挑戦にワクワクしています。ル・マンのサーキットで、そして画面越しで応援してくれたファンの皆さん、僕たちを信じて支えてくれているパートナーの皆さん、本当にありがとうございます。必ずもっと強くなって戻ってくることを約束します。

 

グレゴリー ルブラン選手コメント


ル・マン24時間耐久ロードレースの結果は2位フィニッシュでした。ORGANIZADOR - Circuito de XXXXXXX 00/00/2023この結果はとても悔しいけれど、あれだけのコンディションの中でチーム全員が全力を尽くして戦えたことを誇りに思います。

正直、あと1時間あれば、勝利に手が届いていたかもしれない。ル・マン24時間耐久での6度目の勝利、最多勝記録への挑戦は目前で届かなかった。という思いが溢れるけど冷静に振り返れば、シーズン初戦で表彰台を獲得し、世界耐久選手権ランキングでも2位というポジションにつけているという結果は、チームにとってポジティブなスタートだと思います。

今回のレースで初めてブリヂストンのレインタイヤを使いました。序盤はタイヤに慣れるまで難しさもあったし、夜の寒さと滑りやすい路面、ドライともウェットとも言えない奇妙なコンディションが続きとても難しいレースでした。でも、そんな中で我々はチームとして素晴らしい対応力とパフォーマンスを示せたと思います。

次のスパ8時間耐久に向けてはマシンの改善が必要になります。特にスパは長いストレートが多く、よりパワーが求められるコースだからです。ル・マンの24時間に比べれば、8時間はスプリントレースのようなもので、各ライダーが3スティントしか走れない中で、集中力と爆発力が求められます。
去年のスパは良い結果を残せなかったけれど、今年は違う。タイヤも変わり、我々が何を改善してきたかが問われるレースになります。次戦に向けて、自信と課題の両方を持って前進していきたいです。

チームの皆、ロマン、マイク、そして負傷中にもかかわらず支えてくれたクリスチャンに心から感謝しています。そしていつも応援してくれるパートナーの皆さん、ファンのみなさん本当にありがとうございます。次は6月初旬、世界耐久選手権第2戦・スパ。あの美しいサーキットで、また会いましょう!

 

鶴田竜二 チームマネージャー コメント


昨年の最終戦ボルドール大会でリタイアしてから約7ヶ月間、本当に苦しみました。ORGANIZADOR - Circuito de XXXXXXX 00/00/2023それこそ“生きた心地がしなかった”と言っても過言ではないほど、ここまで必死にやってきました。
それはチームだけでなく、各ライダーたちも同じ想いだったと思います。

グレゴリー選手は、昨年の鈴鹿8時間耐久レースで転倒し、右足大腿骨を骨折するという重傷を負いました。選手生命の危機ともいえる状況から、本人の努力により驚異的な回復を遂げて、今回のレースに臨みました。
ロマン選手も、同じく鈴鹿戦でレース中に熱中症に見舞われ途中でリタイアせざるを得ないアクシデントを経験しました。レースそのものを止めてしまった責任を強く感じ、シーズンオフにとてもハードなフィジカルトレーニングやメンタルトレーニングを徹底的に見直しこの2025年シーズンにすべてをかけて取り組んできました。
マイク選手は、昨年までのチームとの契約が継続できず、我々のチームから再びチャンピオンシップに挑むため、並々ならぬ闘志を燃やしてここまで来ました。

こうしてそれぞれのライダーが再起をかけて臨んだレース。鬼気迫る強い想いが、走りに表れた結果だったと思っています。

決勝は、残り1時間を切るところまで首位をキープしていました。しかし、急な雨によりスリップダウンが発生し、惜しくも優勝を逃してしまったことは本当に悔しく、残念です。
それでも、各ライダーが常にギリギリの状況でトップを守りながら走り続けていたこと自体が素晴らしいパフォーマンスであり、価値ある成果だったと感じています。優勝こそ叶いませんでしたが、2位という素晴らしい結果を残せたことは本当に良かったと思っています。
昨年まではトップグループについていくことすら難しかった我々が、今年はライダーたちの努力と、ブリヂストンタイヤ様のサポートのおかげで、レースの主導権を握るまでに至りました。これは非常に大きな成果であり、今後に大いに繋がっていくと確信しています。

最後に、私たちチームを支えてくださったブリヂストンタイヤ様をはじめ、各スポンサー様、関係者の皆様、そして熱い応援を届けてくださったファンの皆様に、心より感謝申し上げます。

次回のスパ・フランコルシャン8時間耐久レースでも、今大会のように良いパフォーマンスを発揮し、ベストな結果を残せるように、チーム一丸となって取り組んでまいります。引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。

 

Here is the English version of the race report⇩

2025ルマン24時間耐久結果報告_ENG-圧縮

 

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