2023 FIM ENDURANCE WORLD CHAMPIONSHIPル・マン24時間耐久ロードレース 結果報告


13日・14日/予選


予選1回目、予選2回目ともに不安定な天候の中行われ、13日の予選1回目ではドライ、ハーフウェット、フルウェットとコースコンディションが目まぐるしく変わっていき、ライダーごとに全く違うコンディションでの予選となった。さらにメインカーがトラブルにより使用できずサブカーで出走するという厳しい状況の中予選を戦うこととなった。

ライダーブルー予選はウェットコンディションからドライコンディションに変わるという難しい予選でランディ選手が出走、レインタイヤでスタートの中、サブカーの調整を行いながらの予選となる、予選後半にはドライタイヤ有利なコンディションに代わる中、タイヤの選択が後手に回ってしまい、思うように最終アタックが出来ず1分41秒088で9番手となる。

次に行われた、ライダーイエロー予選では渡辺選手が序盤のウェットパッチが残る難しいコンディションでは上位争いを展開、公式予選でのチームベストである1分37秒317を記録し、一時2番手につけるものの、最終的には他チームもペースアップし7位でライダーイエローの予選を終える。

渡辺選手の予選が終わった段階で雨脚が強まり、ポンソン選手のライダーレッド予選からコースコンディションはウェットコンディションとなった。ライダーレッド、ポンソン選手1分51秒186でグループ9位。ライダーグリーン、岩戸選手1分50秒492でグループ3位。とウェットコンディションで先の2名の予選タイムを更新することは無かったものの力のある走りを見せた。

ランディ選手、渡辺選手のタイムの合算結果により総合10位で予選1回目を終える。
14日の予選2回目は完全なウェットコンディションでの予選となったため、4選手共に前日のタイムを上回ることはなく、予選1回目のリザルトがそのまま予選順位となり、10番グリットから決勝を迎えることとなった。

15日~16日/決勝レース    9位


前日の雨も止みコースコンディションも回復。太陽も差し込みドライコンディションでの決勝スタートとなった。決勝レースはランディ選手、渡辺選手、ポンソン選手の3名で戦う予定でしたが、前日の予選2回目の際に転倒をしたポンソン選手のコンディションの回復が見通せず決勝前の朝フリー走行後、チームはポンソン選手に代わりリザーブライダーの岩戸選手の出走を決めた。

スタートライダーはチームのエースであるランディ選手。
午後15時、10番グリットからスタートしたランディ選手は順調なスタートを決め、1周目から順位を上げ6位でホームストレートに戻ってくる、その後も順調に順位を上げていき14周目には3位まで順位を上げる。その後18周目にコースにオイルが出たことによりセーフティーカーが介入、このオイルの影響でコースアウトするものの、順位はそのままコースに 復帰する。25周目のセーフティーカー解除後も約5台による熾烈な3位争いを繰り広げ、3位で渡辺選手にバトンを渡す。渡辺選手は5位でコースに復帰、一時9位までポジションを落とすものの、再び3位まで順位を上げていき岩戸選手につなぐ、9位でコースに復帰した岩戸選手は、チームでは最も経験が少ないこともあり周回を重ねるごとにマシン、コースへの理解を深めていき周回を重ねるごとにペースが上がっていく、ウィークでのベストタイムを更新する力走で追い上げていく。そして7位でランディ選手にバトンをつなぐ。

レース4時間を経過したあたりから、順位の変動も落ち着き夜間走行では大きなトラブルも無く安定したペースで7位前後での周回を重ねていく。

午前7時、夜Fim-Ewc-24H-Motos-2023-Race-Webike SRC Kawasaki France, De Puniet Randy, Watanabe Kazuki, Ponsson Christophe, Iwato Ryosuke, Kawasaki ZX10R, Formula EWCも開けだんだんと空も明るくなったころコース上は濃い霧に覆われる。霧による視界不良の影響を受けてレースも急激に荒れ模様へと変化していき7から8チームが転倒を喫する、そんな中、岩戸選手が霧での視界悪化の影響を受け転倒してしまう。幸いにもライダー、マシンともに大きなダメージはなく、車両をすぐに起こしてピットに戻り車両の修復作業に入る。ピット時間13分という迅速な修復作業によりレースに復帰するものの12位まで順位を落としてしまう。コースに復帰したランディ選手は視界不良の難しいコンディションの中、快走していき10位までポジションを挽回し渡辺選手に交代する。渡辺選手もダメージの残るマシンで周回を重ねていくが、車両に転倒の影響による問題を感じ再度修復作業に入る。約9分の修復作業の後に11位で岩戸選手がレースに復帰する。

W_000853689Fim_Ewc_24H_Motos_2023レースも残り5時間を切りゴールへ向けて順調に周回を重ねていく。他車の脱落により10位に順位を上げ、シングルフィニッシュまであと1台となった。前車との差は約1ラップ差。追いつけるかどうかギリギリの線だがチームは諦めることなく残り4時間をペースが良いランディ選手と渡辺選手の二人で追い上げる作戦に切り替える。20時間以上レースを戦い疲 労感が残る中、両選手共に高い集中力で果敢に前を追っていく。残り1時間半、ランディ選手の最終スティント中に前車との差は遂に同一周回に。残すは渡辺選手がチェッカーまでマシンを運ぶ最終スティントとなる。渡辺選手は安定したペースで走行し前車との差もみるみるうちに縮まっていく。レース時間残り20分を切ったところで遂に前車に追いつき9 位へポジションを上げる。そのまま安定感のある走りで9位でチェッカーを受ける。

Fim_Ewc_24H_Motos_2023_Webike KWT, De Puniet Randy, Watanabe Kazuki, Ponsson Christophe, Iwato Ryosuke, Kawasaki ZX10R, Formula EWCFim-Ewc-24H-Motos-2023-Wojcik Racing Team STK777, MANFREDI Kevin, WEBB Danny, Krzemien Kamil, Szkopek Marek, Yamaha YZF R1, SuperstockFim-Ewc-24H-Motos-2023-Groupe


ランディ・ドプニエ 選手コメント


今日のレースは結果的には9位で終わりました。このチームで目指していた結果には届かず、がっかりしていますが、ウィンターテストの間や準備中に様々な問題もあり、ここに至るまでの過程を考えると9位という結果はそれほど悪くなかったかなとは思います。

決勝を共に戦った渡辺選手と岩戸選手は初めてのル・マン、初めての24時間耐久と決勝に向けてウィークを通しての経験を積む必要があったにもかかわらず、今回のレースウィークはコースコンディションや天候など経験を積むにはとても厳しい状況でした。経験者が少ない中では今回のトップチームと戦うのは厳しく9位という結果は残念ですが、私たちの目標はトップチームとの戦いに勝ち抜いていくことですのでこれからその目標に向けて足りていない部分は補っていかないとダメだと思っています。

次戦のスパフランコルシャンは鈴鹿サーキットのようにとても難しい高速サーキットなので経験のないライダーにとっては厳しいコースだと思います。昨年初めてSRCの方でスパフランコルシャンを経験しており走行データは獲得しているので、そのデータをベースにスタートしてトップ5は必ず獲得したいという目標で臨みます。

私はこのチームで走れることをとても誇りに思っていますし、カワサキに対しても2006年、2007年にMotoGPをカワサキで走っていた経験があるので特別な思いがありますしいい思い出もたくさんありますので、今年はTeamKWT、日本のカワサキとともに同じようにいい思い出をたくさん作っていきたいと思っていますので、日本のファンのみなさんやカワサキの皆さんが沢山会場に駆けつけてくれることを願っています。


渡辺 一樹 選手コメント


新規発足チームでの初回のレースということでとても難しさを感じたレースでした。レースウィーク前のテストやそれまでの準備のことを思うといろいろな困難が有り、その状況下で、決勝中に転倒やトラブルがあったレース展開で、シングルフィニッシュが出来たのはほとんど奇跡的と言っていい位の結果だったと思います。ただ本来、チームとして残すべき結果というものはもっともっと上位にあると思うので、そこを目指すためにはまだまだ自分たちには足りない部分が多いと思います。僕自身、ライダーとして足りない部分が沢山あるので、改善して次戦に向けて準備していきたいと思います。
次戦、スパフランコルシャンは僕自身、未経験のサーキットということもありまだまだ未知数なことが多いと思います。ただとてもエキサイティングなコースというこということもチームメイトのランディ選手から聞いており、走ることをとても楽しみにしております。

24時間、非常に長丁場のレースでしたが無事に完走することが出来、9位ということで貴重なポイントも獲得することが出来ました。期待していただいている皆さんには完全な結果として応えることが出来ていない状況ですが、今シーズン残り3戦、しっかりとチームとして力をつけて、自分自身もライダー として成長して皆様の前でいいレースが出来るよう頑張りますのでこれからも応援よろしくお願いいたします。


岩戸 亮介 選手コメント


チームのリザーブライダーとして呼んでいただき感謝しています。
リザーブライダーの立場としていつどのような状況になろうと戦える準備と心構えをしてきたつもりでしたが、チームメイトの転倒の影響で実際に今回のレースから24時間耐久の決勝に出ることになった際には、自分自身の心構えや気持ちが追いつかなかったというのが正直なところなのですが、自分を支えてくれるチームスタッフやチームメイトが私の決勝レースへの出場を暖かく受け入れてくれて、決勝中もランディ選手や渡辺選手と比べるとペースが上がらない私に対して助け舟を出してくれたり、安心して決勝を戦うことが出来ました。
今回のル・マン24時間耐久ではスケジュールの関係上、レースウィークがル・マン初走行ということになり、過去このサーキットを走行している選手と比べると遅れを感じていました。次戦のスパフランコルシャンでは今回と同様にリザーブライダーとしての参加にはなりますが、遅れを感じる様な事が無いように約2か月間、サーキットについて学習して準備万端で挑みたいと思います。

24時間耐久レースということで普段お休みになってる時間にもかかわらず沢山の応援メッセージをいただきとても励みになりました。日本に戻りしっかりと休み、次戦のスパフランコルシャンに向けて準備していきたいと思います。次戦も熱い応援をよろしくお願いいたします。応援ありがとうございました。


鶴田竜二 チームマネージャー コメント


今新生チームTeam Kawasaki Webike Trickstarとして初のル・マン24時間耐久ロードレースに参戦しました。
チームの立ち上げから、開幕戦に至るまであっという間に日々が過ぎてしまった印象です。約1ヶ月程前からライダーはじめフランスのチームクルー達と開幕前のテストを行い、開幕戦に備えて参りましたが、実際にレースウィークに入るとやはり準備がまだまだ不足していたと言うのが実感でした。
また今回の大会は気温が低く、雨が降ったり止んだりと不安定な天候の中で行われ本当に大変でした。予選まではとにかく天候に翻弄され、コースコンディションがしょっちゅう変わりマシンの調整を合わせ込むのも一苦労でした。
そんな中でライダーはじめクルーはとても良く頑張ってくれて、決勝中に転倒があったももの記念すべき初戦を9位完走に導いてくれました。
我々が目指している目標からすると今回の結果には到底満足出来るものではありませんし、これで良しとするつもりも毛頭御座いません。しかし、今回のレースを糧にしてここから必ず良い結果に繋げていけると確信をしております。これから次戦に向けて更なる良い準備をして進めて行きます。

最後になりましたが今回チームをサポートして頂いた全ての皆様に感謝しております。特にサーキットに足を運んで応援して頂いた皆様、会場にはこれなくてもテレビやインターネットを通じて応援して頂いた皆様本当にありがとうございました。次回のスパフランコルシャン大会も簡単なレースではないと思いますが、チーム一丸となってしっかり戦って参りますので引き続き応援をよろしくお願い致します。

 


【関連リンク】

Team KWT リザーブライダーに岩戸 亮介 選手を起用!!(2023.02.27)

Team Kawasaki Webike Trickstar参戦発表!!(2023.02.03)

 

 

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