TRICK STAR的NinjaH2とH2R⑥ 〜最高速アタック編〜
H2R最高速アタックに向けて、まずはスタンダードに近い状態で実走を試みる事にしました。
クローズドコース専用モデルとはいえ、
130dbを超える純正マフラーの排気音量では走行出来るサーキットがありません。
シェイクダウンは音量対策と慣らしの意味を込め、
普段開発テストでよく使用するサーキットで6,000回転を上限としてテスト走行を行う事にしました。
ライダーは勿論、代表の鶴田自らが行います。
「6,000回転までしか回さないとはいえ、あまりの加速に往年のGP500のワークスマシンを思い出し、
常人が扱う事が出来る領域を大きく超えてしまっている。」
走行後、興奮した様子で語る鶴田のコメントが印象的でした。
ここで最高速アタックに向けての改善すべき点が2つ。
・音量と、抜けすぎる排気対策
・ポジションの変更と、逆チェンジ化
さっそく管長を長く取ったテールパイプを作成。
既存のTRICK STAR製サイレンサーが何種類か装着出来るようにし、音量対策と排圧を掛けれるよう仕様変更。
ステップも逆チェンジ対応のバックステップを試作し、H2Rが少しでも扱いやすくなるよう対策を行いました。
そしてヤングマシンさんとのタイアップ企画も兼ねて
最高速アタックのメッカとも言えるJARI(旧谷田部)に車両を持ち込みました。
今回は高速周回路では無く、1500mの直線路。
500mの減速区間を取って、0-1000mという条件で計測しました。
結果は・・・
メーター読み 342km/h
GPS計測 316.72km/h
今回は純正のスリックタイヤからハイグリップタイヤに換装してのチャレンジで、
タイヤの外周が少し小さくなった事もあり最高速が計算上は347.4km/hであった事と、
0-1000mという条件ではH2Rの最高速を引き出すのは十分ではなかった事も含めると、
順当な結果だと言えます。
1000mを超えても加速の衰えを見せないH2Rの底知れぬ性能をもっと知りたいという欲求と、
500mという減速区間があるとはいえ逸早くアクセルを閉じ、減速しなければ・・・という危険察知本能との葛藤。
まさに常人が扱う事の出来る領域の先を垣間見た瞬間だったと後に鶴田は述べています。
以下、同時に持ち込んだ、全日本ロードレース選手権JSB1000クラスに出場している
TRICK STAR Racing ZX-10Rと比較です。
・TRICK STAR H2R
0-400m 10.161秒/263.61km/h
0-1000m 17.319秒/316.72km/h
・TRICK STAR Racing ZX-10R
0-400m 10.255秒/244.49km/h
0-1000m 18.111秒/286.61km/h
TRICK STAR Racingで5年間チューニングを積み重ねたZX-10Rですから、
勿論ZX-14RやYAMAHAのYZF-R1Mよりも良いタイムを出しているわけが、
H2Rはそれを遥かに凌ぐ数値を叩き出しました。
とりわけ、250km/hを超えてからの加速度に明らかな差があり、
H2Rの秘めた性能を引き出す為にはそれ相応の環境と、
ファイナルの変更を中心としたセッティングが必要になる事が今回のテストで明確になりました。
TRICK STAR的NinjaH2とH2R①
TRICK STAR的NinjaH2とH2R②
TRICK STAR的NinjaH2とH2R③
TRICK STAR的NinjaH2とH2R④
TRICK STAR的NinjaH2とH2R⑤
TRICK STAR的NinjaH2とH2R⑥
TRICK STAR的NinjaH2とH2R⑦
TRICK STAR的NinjaH2とH2R⑧